夜の窓

内側から見えた景色、外から見える様子。 いろんな角度から日常を綴ります。

大阪建築「大阪木材仲買会館」

「環境資源の活用」や「自然との共生」といったテーマを盛り込んだ新たな都市景観の創造において、ここ数年、木造建築が熱い。高度経済成長の熱気が落ち着いて久しいこの頃、原点回帰というのだろうか。東京五輪に向けた新国立競技場の隈研吾案にみてもわかるように、卓越した木造建築技術を有する日本から世界へ「木」の魅力が発信され大きな注目を集めている。しかし、耐火などの観点から都市部で大型の木造建築物を目にすることはまだまだ少なく、今回紹介する大阪木材仲買会館は貴重なそのうちの一つ。木材問屋が軒を連ねる南堀江の一角に姿を現すそれは、地上3階、建築面積453㎡にも及ぶ日本初の耐火木造オフィスビルだ。

外廊に張り出した大きな庇は日本家屋の縁側のような雰囲気を醸し出し、さらに構造材の「木」をそのまま生かすことで得られる美しい木目や上品な佇まいは、まさに「木の殿堂」の名にふさわしい。「“木”の殿堂」、「“石”の殿堂」という表現は著名な建造物を表す言葉としてしばしば用いられるが、自然の産物だけが持つこれら素材の底力のようなものにはどのような人智も及ばないのかもしれない。当館は、ふとそんなことを考えさせる身近な建物だと思う。

 

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初見の感想は「こんなところにこんな建物があったとは!」

◆所在地:大阪市西区南堀江4丁目1810

◆竣工年:2013年(平成25年)

◆同年の出来事:滝川クリステルの「お・も・て・な・し」が流行語大賞受賞